一宮町指定文化財

(昭和五十二年十月二十八日指定)

天台宗上総五山の名刹、玉崎山観明寺の
四脚門は江戸初期の建築であろう。
四脚門は四足門または山門とも言う。
建築様式は切妻型、屋根は箱棟である。
二軒繁垂木・頭貫虹梁(梁の一種)・
妻虹梁で組まれ銅版葺きであるが
もとは茅葺であったという。
主柱は角柱で蟇股は四脚門前後に備えられ
枡組と共に桁を支えている。
正面の蟇股には沢瀉の家紋が彫られ、
背面の蟇股卍・巴の寺社の紋が表裏に彫られ、
神仏混淆の時代を物語っている。
沢瀉の紋は堀氏の用いた家紋であり
領主堀外記は寛文十二年(1672)から三十余年
一宮本郷とその周辺の村々を支配していた。
延宝の頃、領主の寄進と思われる。
多少傷みはしているが重量感に富み、
現存の建築物では町内最古であろう。
 

一宮町教育委員会